ガラクタエッセイ

Yuta Kobayashi / ハヤシユウの活動記録、エッセイ。飽き性です。

エレベータの故障がもたらしたもの

11月5〜6日、土日の二日間、カルチャーMIXフェスタというイベントが行われました。イラストや写真、文章の作品を発表する展示会「Emotinal Herats」と、ダンスや歌、演劇など、パフォーマンスを発表するステージイベント「N-art communication」の二本立てのイベントです。僕はほぼほぼ、後者のステージイベントのスタッフとして二日間お手伝いをしていました。

 

5日の朝、機材の準備からイベントは始まります。ステージイベントの会場は、万代市民会館の頂上階である、6Fの大ホール。当然のようにエレベータに乗り込んで荷物を運びます。

僕達が優雅にエレベータで6Fに着いた直後、「すみません、エレベータ使えなくなりました。イベント終了まで復旧は難しいです」とのメッセージが到着し、イベントは波乱の幕開けとなりました。幸い、大きな機材は前日準備で持ち運んでいましたが、アーティストさんも自分の楽器やエフェクターは階段で持ち運び。ぜぁはぁ息を切らしながら階段を登ってきます。

 

イベント開始間近になると、お客さんが集まってきました。このイベントはお客さんの年齢層も幅広く、おじいちゃんおばあちゃん世代の方もやってきます。息を切らして階段を登ってやってきます。若い人は大丈夫かというとそうでもなくて、「3Fくらいで疲れた(※会場は6F)」なんて言葉をもらします。

 

全員が全員、階段を登って会場にやってきます。故障という形で、エレベータの恩恵に気付くのでした。

 

さて、視点は変わりまして、アーティストにとって、ステージイベントというのは非常に期待と不安が入り交じる場であります。期待は、大きなステージで、沢山の人に見てもらえること。音響や照明の設備が整っていて楽しいこと。不安は、他アーティストのファンや初見のお客さんを味方にできるかということ。

野外フェスではみんなのテンションも高いので、お客さんを味方にしやすいのですが、室内でのイベントはいかにお客さんを味方につけるか、難しいところであります。面白いMCだったり、圧倒的な演奏力だったり、魅力的なルックスだったり、親近感だったり、そういったものを武器にお客さんのハートを掴んでいくのも、アーティストの課題です(カルチャーMIXのお客さんは暖かい人が多いので、あまり心配はないのですが)。

 

アーティストのMCをずっと聞いていると、やはり地元のネタを盛り込んでいる人はお客さんのハートを掴んでいるような気がします。「新潟初めて来て、イタリアン食べたんですけど、てっきりイタリア料理のことかと思ってました!(※新潟ではミートソースのかかった焼きそば)」で、お客さんから笑い声。いかにお客さんの知っていること・体験したことを共有できるかによって、お客さんとアーティストの距離は縮まると思います(ステージに引き込む)。

 

そんなこのイベントで一番共感を呼んだMCであり、笑いを誘ったMCであり、多用されたMCがあります。それは、「みなさん、今日は6Fまで息を切らして来てくれてありがとうございます」でした。確実にみんなが経験したことを笑いに変えることで、一気に会場の雰囲気が暖かくなりました。エレベータの故障がもたらしてくれた、たったひとつの恩恵でした。

たとえば、新潟県民の99%の人がイタリアンのことを知っていたとしても、残りの1%の人はMCについていけません。それが、当日壊れたエレベータのことだったら。必然的に全員がエレベータ故障の張り紙を見て、階段を使って最上階まで来ます。今回のイベントでは、その大変な経験をみんなで共有できているという、謎の一体感がありました。

 

そして当イベントの感動のフィナーレ。なんと、2日目の夜、イベント終了間際になって、エレベータが復旧したのです!司会者の方が「皆様にお知らせです、エレベータが使えるようになりました」とアナウンスをしたところ、会場からはこの日一番の(?)拍手喝采!それがとてもいい景色に見えました。搬出のタイミングでしっかり回復してくれて、イベントではみんなに一体感を与えたエレベータ。今回のイベントの影の立役者だったかもしれません。ありがとう。