129ドルで手に入る入門ブラス音源「WIVI Band」を激推し
ハヤシユウ(@884yuu)です。今日は音源の紹介をしてみたいと思います。今まで面倒くさくてあまりやって来なかったんですが、仕事も一段落ついて時間ができてきたので! さてさて、ブラス音源といえばEAST WESTの「QLSO」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。かくいう僕もQLSOは欲しいなーと思いつつも、5万はちょっとな!という状態でした。そこで色々調べていたところ、以前お会いした音楽プロデューサーの方がこのソフトの上位版を使っているということで試してみました。当時のレートは1USD=100円ちょっとで13,000円だったかな。 WIVI Bandに関しては日本ではマイナーで、検索してもユーザーの声が出てこないので、僕がレビューを書いちゃいましょう!
WIVI Bandとは
物理モデルブラス音源。物理モデルというのは、音の作り方の方法で、調べてみると
生楽器の発音構造や共鳴構造をコンピュータ上でいかに振動・共振するかをリアルタイムに演算し、音色を合成し仮想的にシミュレートして音を出す方式。
とあります。今では事前に楽器の生音を収録する「サンプリング音源」が主流なので、あまり物理モデルというのは聞きなれません。 収録楽器は以下のとおり。
種類自体はそこまで多くないですが、必要最低限なモノはだいたい揃っているかな、という印象。オーケストラとかやると足りないですね。WIVI Bandは上位版の音源から普段使いのものを集めた入門版という位置づけです。
物理モデルって肝心の音はどうなの?
音源を導入する前に一番不安になるのは音の質。使ってみた印象として、金管の鋭さはバッチリです。木管は少しまろやか(音がきれいすぎ)で扱いにくい。綺麗すぎるというのはサックスにも言えて、サックスの音色はまろやかから汚いものまで欲しいのですが、まろやかよりな音しか出ません。全体としては、それ(WIVI Band)だけだと若干のシンセっぽさはあるけど、曲中に混ぜるとほぼわからないくらいよく溶け込みます。僕がここ2年くらい作っている曲のブラスはほとんどコイツに頼っています。 出音としては最初は何のエフェクトもないかわいた音がなります。基本的に深めのリバーブとセットで使うことになると思います。 参考までに僕の曲も。1年半前くらいにWIVI Bandのデモとして制作した曲を少し手直ししてみました。
基本画面
⑤の「Setup」を選ぶことで以下の画面に切り替わります。基本、この2種類。
①楽器セレクト
楽器の種類は最初に上げたとおり。「No Mute」をクリックすると、ミュートの種類が切り替わっていきます。
②音量調整
ベロシティ(一音一音の強弱)ではなく、全体にかけられる強弱のインプットを選択。MIDIでは「Expression(エクスプレッション;表情)」で設定していたものですが、デフォルトでは「Modulation(モジュレーション;ゆらぎ)」で設定します。ちなみに、「Modulation」はもともとビブラートなどに使うパラメータですが、ビブラートはキースイッチで用意されているので、この設定のままで問題無いと思います(リアルタイム入力で、キーボードにModホイールがない場合は設定を変えるといいかも。僕はどちらにしろ後でマウスで書きます)。
画像のような音量だと、ロングトーンがフォルテピアノからのクレッシェンド、グリスアップがだんだん減衰、という感じでいかにもブラスっぽい。
③管の本数
デフォルトは1本(モノフォニック)で、和音は演奏できません。たとえば3和音を鳴らしたいとき、ここを3にすればいいわけですが・・・ 同じフレーズを演奏するとき、ひとつのメロディーだと、それも3人で演奏しているような音にしてくれます。これは便利。
でも、別々のフレーズ、たとえば上の画像のようにTp.1がロングトーン、Tp.2&3がスタッカートとかだと、ぐちゃぐちゃになります。あと、別々にピッチベンドとかいじれないので、基本的に僕は「1」にして、トラックを増やしています。開発者の皆さん、ごめんなさい。
④広がり
AMBIENCEは空気感というか、残響の操作です。SPREADはステレオ幅の広がりで、先ほどの「管の本数」を増やしたときに、楽器の幅が広がります。しかし、勝手に左右に広がってしまうのがけっこう扱いづらいので、僕はここを0%にしています。PANNINGは定位ですね。 AMBIENCEやSPREADは小さめにして、DAW側で「リバーブ」「ステレオエンハンサー」のようなプラグインをかけてあげたほうが良いと思います。
⑤基本設定
Setupを押すと画面が切り替わります(後述⑦、⑧)。
⑥鍵盤の割り当て
トランペットの初期状態。白い鍵盤が使える鍵盤で、赤いところがキースイッチですね。もともと楽器のちゃんとした音域に設定されているので、初心者でも変に高い・低い音を使っちゃう心配はないですね。
・・・うん、心配はないはず・・・?!
(*゚∀゚)! 鍵盤がひろがった!!何を隠そう、WIVI Bandは「物理モデル」音源ですからね。いくら高い/低い音でもシミュレートで音を作っちゃうわけです。・・・まあ、使う機会無いですけどね/(^o^)\ もう1音だけ、隣の音を使いたい・・・!みたいなときは広げちゃいましょう。
⑦ピッチの変更 / ⑧リバーブ
⑦、Tuning(マスターピッチ)の変更は0.01Hz単位で可能です。Transposeはあまり使う機会無いですね。これもDAW側でやっちゃいます。Pitch Bend Depthは初期値は1(半音)。ちなみに、どこまで動かせるのか試してみたところ、48(半音)でした。4オクターブて。やりすぎや。 ⑧、リバーブは前述のとおりここではかけないほうが無難。DAW側でかけましょう。
まとめ
必要最低限の楽器が収録され、129ドルという価格、入門ブラス音源として選択肢に入れてもいいのではないでしょうか。物理モデル音源はあまり触る機会がないかもしれませんが、サンプリングのようにメモリをバカ食いしないので割りとさくさく動きます。トラック増えると大変ですけどね。